"大人の童話"の記事一覧

かーちゃんのオムライス

ヤサキモ、本日はカレーでした。 かぼちゃゴロゴロのキーマカレーです。 で、本日来られたお客様の一人。お年を召した方でしたが、 かぼちゃと聞いて「かぼちゃはダメなの。ごめんなさい」。 脱兎のごとく、お帰りになりました。 そういえば、イモ類が大嫌いという方が、時々居ます。そのほとんどが、子供のころの食糧難で、芋やかぼちゃば…

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トンカツ女

悦子さんは、トンカツが大好き。チルグワーに行っても、和風亭に行っても、ラーメンを食べに行っても、トンカツのメニューを必ず! 選びます。 悦子さんにとってトンカツは、遠い遠い幼い日を想い出させる大切なご馳走らしいのです。 悦子さんが子供だった時代。ご飯を食べる時は家族そろって食卓を囲みました。仕事を終えたお父さんが帰ってくるの…

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ハルミッコ(最終)~ヨンジャの涙とおじぎ草~

ヨンジャの晴れ着は、以前私が持っていた振袖のように、とても華やかでした。一度でいいから、私もあの晴れ着を着てみたいと思いました。 私に晴れ着を見せたヨンジャは、丁重にたたんで引き出しにしまい、今度は急いで私を外に押し出しました。明るいところに出ると、ヨンジャは余計にみすぼらしく見えました。でも、袖口のほころびたセーターを着たヨンジ…

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ハルミッコ(6)~ヨンジャのチョゴリ~

朝ごはんを食べると、旅の途中に拾った子犬のクリを連れて、妹と私は壁のところに行きます。私たちの遊び場はそこに限られていて、お互いの家に行ったり来たりするでもなく、どこかに行くでもないのに楽しい毎日でした。 ヨンジャの両親を見かけたことはないけれど「お父さんは? お母さんは?」と尋ねることもできません。でも、もし私が朝鮮語を喋れたと…

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ハルミッコ(5)~歌はともだち~

女の子の名前はヨンジャと言いました。私たちは、たちまち仲良くなりました。 ヨンジャは、私に何を教えようかと考えているらしく、あれやこれや朝鮮語で言うのでした。そうやって二、三日経ちました。私と妹はヨンジャと三人で壁のところで遊んでいました。クリもふざけて、私たちのなかにもぐりこんでは怒られていました。 今日は何をして遊ぼうか…

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ハルミッコ(4)~あったかい雪、それは「ヌニ」~

その日は、朝から空がどんより曇って、また少し寒くなったような気がしました。母が言いました。 「こういうのが三寒四温。だんだん暖かくなっていくわ」 お昼を少し過ぎた頃、診療所にお弁当を届けた私は、女の子のいるところに戻りました。雪がちらつき始めました。 私は灰色の空を見上げました。冷たい雪の結晶がほっぺたに落ちたとたん、…

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ハルミッコ(3)~出会い~

とにかくトラックは無事に岸へつき、ゴロゴロを後に地面の上を走り出しました。雪解けの道はグチャグチャの泥んこ道で、両側に並んだ民家の壁に、申し訳ないほど泥を飛ばします。白い服の通行人が慌てて飛び退きました。 家並みがだんだん途切れ途切れになってきたので、トラックの窓から顔を出していた私は、首をひっこめてガラス越しに前方を見ました。 …

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ハルミッコ(2)~春の足音~

私たちの旅は、あっちに行ったりこっちに戻ったり、たえず動いているだけで何処に行くということが決まっている旅ではありません。だから夜中も野宿したり移動したり、「出発だぞー!」という伝令の声で、馬車はガタゴト動き始めるのでした。 そんな具合ですから、長くて一週間から十日、短い時は一日か二日で私たちの居場所は変わります。父の顕微鏡や注射…

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「ハルミッコ」(法村香音子著)紹介の前に

ティットンサーネー ハルミッコ カーシトゥドゥン ハルミッコ サンナティエーヌルゴンナー ホーホベッパリ ハルミッコ チョンナンコーチーコーチュンゲー ムースコーチーモッテヨー 私はこの歌を、四十年もたった今でも踊りながら歌えるのです。二番はとなるとちょっとぎこちないけれど……。 そのしぐさから考えると「ハルミッコ…

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見えない火

むかしむかし、あるところに大変豊かな国がありました。 その国の人々は、汗を流して働く必要はありませんでした。 人間の目に見えないのに、よく燃える魔法の火を持っていたからです。見えない火が、全てのエネルギーを与えてくれるので、この国では、寒い時でも暑い時でも快適に過ごせました。 食べ物も豊富にありました。 雨が降っ…

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